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COMMONS CAFE <コモンズカフェ>

開催日:2013年11月07日

[第1回]同志社大学 学長 村田晃嗣「伝えたい!同志社での学び」

2013年11月7日、記念すべき第一回目のコモンズカフェが開催されました。

カフェの前半は、同志社大学村田晃嗣学長をお迎えし、「伝えたい!同志社での学び」というタイトルで、ご自身の生い立ち、最近の研究関心、育成したい学生像などをお話しくださいました。司会進行は、東京大学の森玲奈先生です。

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最初に、同志社大学に進学したきっかけに触れました。その理由は大きく二つです。まずはキャンパスが綺麗だったこと。特にクラーク館に魅せられました。もう一つは政治学を勉強したかったこと。中学生の頃から『中央公論』を買い、分からないながらも読み続けたことで、政治に興味を持つようになりました。
大学在学中には、アーモストサマープログラムに参加し、アーモスト大学やボストンなどを廻り、新島襄や同志社の歴史に興味を持ちました。意外なことに、この短期留学が初めての海外経験だったとのこと。この時の友人とは、現在も年に一回は同窓会をしているそうです。
ゼミではアメリカ外交史を勉強。同志社大学卒業後、大学院は地元の神戸大学を選び、そこで博士を取得しました。一方で、同志社との繋がりを大切にしたいという気持ちから、新島襄も説法した神戸教会へ通うようになり、洗礼も受けました。大学院在学時には、ジョージワシントン大学への留学もしました。ワシントンは、街全体が政治の学校ともいうべき場所で、大いに啓発されたそうです。その後、広島大学総合科学部に専任講師として赴任、2000年10月には、助教授として同志社大学に戻ってこられました。法学部長を経て、現在は学長となり、多忙な日々を送られています。

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そんな中、最近は政治外交と映画の関係を研究されているそうです。映画鑑賞は、温泉と並ぶ村田先生の趣味であり、プレイヤーがあれば新幹線の中でも観ることができるため、時間を有効に活用できます。
村田先生はここで、聴衆に質問を投げ掛けました。アメリカの歴代大統領の中で一番映画に登場するのは誰か。答えはリンカーン。その理由は、第一に、南北に割れていたアメリカを再統一したこと、第二に、戦争時の大統領であり映画製作のうえで目立つこと、第三に、暗殺されたこと、が挙げられます。リンカーン以外には、ローズベルト、ケネディがよく登場します。
一方、フィクション世界における大統領は、非現実的な姿に描かれます。かつては黒人でした。オバマが大統領となった今では、女性、ヒスパニック、同性愛者といった描写に変化しました。

最後に、育成したい学生像の話題になりました。新島襄は役に立つか立たないかで判断される「人材」ではなく、内面の美徳を兼ね備えた「人物」の育成を目指しました。この当時は「人材」は豊富にいました。しかし、現在は「人材」もあまりいません。村田先生は、「人材」かつ「人物」でグローバル社会に通用する人が求められていると訴えます。そこで学生に求められるものとして3つの力を挙げました。一つ目は、多様性に対する共感する力。世界には様々な文化や価値観があるためです。二つ目は、普遍性を探求する力。多様性を認めるだけでは相対主義に陥ります。多様な中にも普遍的な価値観や真理があることを探っていく必要があります。三つ目は、アイデンティティを再考する力。アイデンティティを確立するのは勿論、場合によっては、それを見直すことのできる柔軟な姿勢が必要です。村田先生は、学長としてこのような学生を育成したいと語り、お話を結ばれました。

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引き続いて、質疑応答に移ります。聴衆からは数多くの質問が飛び出し、村田先生は笑いを交えながら答えられていました。その内容は、お話の内容に関すること、村田先生のプライベートに関すること、大学のことなど、多岐に亘りました。学生にとっては、学長と直接お話ができた有意義な時間となったようです。活発に発言が飛び交った結果、前半パートは終了しました。

カフェの後半では、それまでホストを務めてくださった森玲奈先生を、今度はゲストスピーカーとしてお迎えしました。森先生はカフェイベントの第一人者です。今回のテーマは「学びをひらく『カフェ』」。先生が主催者として運営されてきたUTalkの話題を軸に、ゆるやかな学びの魅力や意義について語っていただきました。

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UTalkとは、東京大学本郷キャンパス福武ホールで毎月開催されているカフェイベントです。当ホールは、建築家安藤忠雄の設計で、美術館のようにスタイリッシュな建物です。館内のUTカフェもこれまたおしゃれな空間です。コーヒー紅茶を片手に気軽な雰囲気で学ぶことを目的に、東大のさまざまな先生をゲストに迎え、一般参加型のリラックスした知的空間が生みだされています。
天気の良い日は屋外で開かれるこのカフェでは、じつにさまざまなテーマが扱われます。たとえば最近では「時空の振動で星をみる」、「ネコとヒトとの微妙な距離感」などなど。参加者は、こうしたキャッチーなテーマのもとで最新の研究に触れることができます。またたっぷりの質疑タイムでは、カフェイベントならではの和やかな空気感のもと、自由にゲストと意見を交わせます。毎月第二土曜日に日時が固定されているので、「今週末はUTalk!」と楽しみに通われる方も多いそうです。
こうしたゆるやかで素敵なカフェイベントの裏には、主催者側のきめ細やかな準備作業があります。教育工学、なかでもワークショップやカフェイベントなど、ゆるやかな学習環境のデザインを専門に研究されている森先生は、そうした観点から、カフェイベントにとって大切なポイントをいくつか紹介してくれました。まず、時間配分と人数調整について。一時間のイベントでゲストスピーチと質疑が半分ずつというタイムスケジュールで行われます。参加者についても応募者から15名ほどを抽選します。こうすることで、コンパクトでゆるやかな連帯感が生まれます。つぎに、スピーチのテーマについて。あえて大まかに設定するにとどめることで、ゲストは聞き手の表情や反応をみながらトークの方向性を調整することができます。話し手個人の体験談・失敗談なども話題にのぼるので、聞き手は、テキストを繙くのとは違ったかたちで、まさにカフェで友達の話を聞くように、情報を受け取ります。さいごに、空間デザインについて。机をでこぼこに配置する。ホワイトボートやプロジェクターを使用しない。こうした配慮によって、話し手から聞き手への一方通行ではない、全員参加の柔軟なコミュニケーションが可能になります。

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今回のコモンズカフェも、まさにここで述べてきたような雰囲気のなかで行われました。参加者の方も、ラーニング・コモンズのカフェエリアに座ってお茶を飲みながら学長や森先生のお話を聞くことで、二重の意味でカフェイベントを実感できた、そんな新鮮な企画になったと思います。森先生の運営するUTalkのエッセンスは、「UTalkのつくり方」としてこれまでの報告記事とともにホームページにアップされています。

みなさんも、実際にカフェイベントへと出かけてみてはいかがでしょうか。コモンズカフェも継続して原則月一回のペースで開催していく予定です。

(文章:伊藤・坂田)

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